BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

デュッセルドルフ滞在記2-5

 

5日目、月曜日。残念ながら早朝に目覚める。日本はもう昼頃だ、とか考えてしまうのがきっとよくないのだろう。去年ここに来て、編集の仕事をもう断念せざるをえないだろうと感じたのも、煎じ詰めればこの時差ボケに起因する。旅と物書きは両立できるけど、旅と編集仕事を両立させるのはとてもむずかしい。

 

ラーメン匠に並んでいたら「英語は話せるか?」と白人系のおじさんに話しかけられる。旅行者らしい。「あっちのラーメンと寿司はすでに試したが、こっちは良いか?」「良いと思う。ただしそれは1年前の話です。なぜなら……」などと話していると、店員に「お二人様ですか?」と訊かれて、なんだか吹き出してしまう。「ええ、今知り合ったばかりですが」。

 


「ニュースダイジェスト」の高橋萌さんがインタビューしてくださった。なんと3時間半超え……。自分がこれまでどんな人たちと出会ってきたか、何を大事にしてきたか、自分が考える芸術の意義、そしてそれらがENGEKI QUESTとどう関係しているのか。そんな話をした。(ポケモンGOとの共通点と違いについても話した。きっとそういう話もしたほうがよいと思って、用意していた。しかしそれ以上に根源的な話をたくさんできてよかった……。)

 

萌さんがデュッセルドルフに暮らすことになった経緯もすごく興味深い。人が移動する時、そこには物語が生まれるということだろう。ある日本人駐在員の妻の話。足を失ったドイツ人アスリートの話。多和田葉子さんの話。……この世界はそれぞれの見える世界=ヴィジョンによって成り立っている。

 

ENGEKI QUESTは個々人のヴィジョンと身体感覚を引き出し、そこに刺激を与えることによって、その未知の可能性をひらいていく。それはおそらく、人間の鬱屈を解き放ち、暴力を解除することにも繋がるだろう。わたしはそう信じる。暴力では、暴力を根絶することはできない。

 

マニラでは究極的にはたぶん雨が、孤独な人々を結びつけた。ここデュッセルドルフでは何がそれを可能にするだろう?

 

 

 

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