BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20140126 栗原彬ゼミ

 

栗原彬ゼミの卒業生有志たちによる、先生を迎えたゼミを奥沢で開催(呼びかけているのは鈴木励滋たち)。集まったのは4人ほどだったけど、先生が監修し、NHK学園という通信教育で以前使われていた『人間学』のテクストを使って、障害者福祉、学校教育、演劇批評、在日韓国人、などそれぞれの現場に則した話をする。話の中核になったのは(わたしも『演劇最強論』で援用した)「ヴァルネラビリティ」という概念だけど、それぞれ現場においてそれなりの長さの経験を経てきているので、学生の頃にように変に抽象的な空中戦になったりナイーブな雰囲気に流れたりせずに、かなり実りのある対話ができたと感じた。手応えがあった。先生もまた各地で新たに触れたエピソードの話などをしてくださって、特に、ある車椅子の聾唖の青年がベンツに傷を付けてその持ち主に激怒されたけど、なぜだかその激怒したベンツの人をボランティア活動に巻き込んでしまった、という話は面白かった。あと先輩Fさんが教師になる時に通った道の話とか。Kさんが見たヘイトスピーチの現場の話とか。それから、イリイチの沈黙の抵抗について……。

 

このゼミはシリーズとして続けていきたいと考えているのだけども、もう、言葉が力を失って「現実」の前にひたすらゆるやかに敗北していくというこの時代(という認識は大きくは間違っていないと思う)にあって、こうやってそれぞれの「現場」と「知」とが邂逅するような場を持つことは貴重だし大事だと感じる。思想的に右か左か、みたいな旧式の構図に乗って考えるのではなくて、今目の前に起こっている、そしてまた遠くの世界で起こり、また歴史的に形成されてきた「現実」に対して、そしてその「世界」に対して、人々が(あるいは「私」が)どう関わっていくのか、さらにはそこで言葉や身体がどのような力を持ちうるのか、といったことはライフワークとして考えていきたい。演劇批評も含めて自分があらゆるものごとを考えていく時のベースとなる思想はここにあると思う。先生もご高齢で体調が安定しているわけではないので、このあと果たしてゼミをどのようなペースで続けていけるかは分からないけれども、書籍として残したい気持ちもあるので、どなたか興味のある出版社や編集者がいれば相談させていただきたいと思います。他人任せにできるというものではないけども。とりあえず、この日の対話の一部を文字化して公開することも考えてはいます。

 

 

外に出ると凄まじい寒気……。メールを見るとちょうど近くに住んでいる某M君から珍しく飲みませんかとメッセージがあったので、武蔵小杉で飲むことに。彼は、わたしが「横浜に住めばいいよ」とかたぶん言ったせいでなんとなく東京の南のほうに住むことにしたのだが、かといって横浜まで来るほどの思いきりもなく、中途半端(?)に途中の土地に住むことになり、結果として友だちが近くにいない、と言って嘆いているのだ。知らんがな。とにかく武蔵小杉の横町はまた独特の魅力があり、チューハイ100円という店があったので入ってみると中東系(?)の店員さんたちが働いている。例によって(M君の)夢精の話とかをした。夢を見るのはいいことだと思う。夢を見ないと生きていけない。いろんな意味で。

 

 

 

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