BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

東アジア文化交流使日誌・香港その4

 

香港4日目。またホテルを移動。今回の旅では香港をいろんなアングルから体験してみたくてホテルを転々としている。今回は徒歩で隣町の湾仔まで移動。


昼過ぎから噂のチャーリーに会うため、大道寺梨乃が公演した唐三(Tong3)へ。かなちんやはるかちゃんから絶対チャーリーに会うべしと言われていたのだが、なるほど納得の人格者。唐三ではダンス、音楽、映画といろんなイベントをジャンルレスに行ってるらしい。あくまでチャーリーのスタジオだから稼働率はそんなに高くなさそうだけど、インディペンデントに何かをやりたいアーティストの力になってくれそう。案内してもらった屋上には住居がつくられていたがこの不法なスタイルは香港ではよくあることらしい。とにかく場所が足りないのだ。同じビルに住む96歳のキュートなおばあちゃんにも紹介してもらったが、彼女も、ワンルームをさらにドヤのように仕切った超狭い部屋で隣人たちと暮らしている。肩を寄せ合わなければここでは生きていけない。チャーリーはまた水曜日にいろいろこのエリアを案内してくれるという。


唐三は太子駅のあたりにあるのだが、そこから歩いて数分でステファンの家へたどり着く。彼は結局朝の6時までパーティにいたらしい。もし本気で香港に住むつもりならバスルームをシェアしてる隣人のフランス人がもうすぐいなくなるから部屋があくよ、8万円くらいで住めるよ、と言われてそれなりにマジで考えてしまう。今のところやっぱり住みやすいのは横浜だよなあと思いつつ、香港あたりに拠点があると南シナ海周辺は移動しやすいよなあ……


ステファンとこれまた寝起きの友人ジェシーと一緒にタクシーに乗り込む。こちらのタクシーはどの運転手も運転が荒くてまるでアトラクションみたい。西九龍の野外イベントへ。百万ドルの夜景を見ながら、ビール片手に音楽を楽しむっていう至福……。このイベントは毎月行われているとか。


彼らと再び深水埗あたりまで戻って、半野外の店で食事。ステファンはすでに常連らしく店の人たちと挨拶を交わしている。ジェシーは不動産の仕事をしているらしいがアートにも深く関わってきたようで、フランクに話せるし面白い。香港には海賊がいた、っていうかもともと私たちは海賊だったんだよねと笑うジェシー


深水埗駅周辺はナイトマーケットというか泥棒市になっていて、盗品ではないかと思うようないかがわしいものばかりが売られていた。新旧や貧富の落差が激しいのは香港にかぎらないことだが、この都市の独特の息づかいはこういうところにあるようにも感じる。


大男ステファンとはレスリーさんと同じくマニラのKARNABALフェスティバルで初めて知り会った。それから京都、台北、東京でも会っていて、ようやく彼のホームグラウンドである香港を訪ねることができた。彼はわたしがマニラ(マリキナ)でつくった『ENGEKI QUEST』を面白がってくれて、香港のキュレーターに紹介してくれた。実はそのおかげで香港でも『ENGEKI QUEST』をやれそうな話が持ち上がっている。おかげさまだよありがとう、と言うと片手を出して「Money!」と冗談で返してくる面白い人物だ(もしかしたら冗談じゃなかったりして……笑)。横浜のTPAM→マニラのKARNABAL→香港、と話が繋がっていくのは面白いしありがたいし、ザ・マーケットとは違うやり方で足場をつくっていくためにはこういう顔の見える草の根のコネクションが自分にはどうしても必要だ。『ENGEKI QUEST』はその土地に良き理解者がいないとつくるのは難しいし。ちなみに実はというとその香港からのオファーはスケジュール的にかなり厳しかったしもうだいぶいろいろ疲れ果てていたせいで最初は断るつもりで返事をしたのだが、こないだ横浜で若い人たちと一緒に新作をつくったことでモチベーションを取り戻せたので、よっしゃここは香港に乗り込んで一丁やってみるかという気になって受けることにしたのだった。それで今回の東アジア文化交流使でもそのリサーチを兼ねて香港を訪れることに決めたのだが、良い選択をしたと今のところ実感している。ステファン、レスリーさん、チャーリーら、頼もしい協力者がいてくれればなんとかここでもやれそうな気がする。香港と呼ばれるこの都市のそこかしこに見え隠れする「落差」の中に、どう我が身を滑り込ませていけるか。そこが創作の鍵になりそう。

 

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