東アジア文化交流使日誌・香港その3
香港3日目は買い物の日になった。銅羅湾のあたりは新旧入り混じっていて、基本的には渋谷と銀座が混じったようなきらびやかな雰囲気なのだが、ちょっと路地を入ると衣料品の市が立っていたりする。その市場で甥っ子に贈るオモチャを買ったり、若者向けの洒落たカフェに入ってみたり、焼き物の展示を観たり……。暗くて古い建物がふと気になってふらりと入ってみたところ、意外にもオシャレな古着屋があった。店主のレックスさんは新宿の文化服装学院で学んだらしく日本語もだいぶ話せる。欲しいと思える服ばかりで、900HK$のズボンを購入。同じ建物の食堂からはスーパーマリオの音楽が。そして近くの工場からはトカトンと鉄を叩く音がリズミカルに聞こえてくる。このあたりで一本短編をつくれそうな気がする。
ヴィクトリアパークにはムスリムの女性たちがたむろし、お喋りしたりお祈りしたり、思い思いの時間を過ごしていた。セールスの男が彼女らに何かを売りつけようとしているのを除けば、そこは完全に女性だけの世界だった。まだ直接話しかけたりはしていないが、おそらくレスリーさんから聞いた話にあった、インドネシアから家事手伝いで来ている女性たちではないかと思われる。銅羅湾周辺では彼女らの姿をよく見かける。
移民には独自のネットワークがある。銅羅湾の市場にあるフィリピン食材店では(我が愛しのレッドホースも入手できる!)、フィリピン人のための住居情報の張り紙もあった。横浜でもそうだが、食材店や料理屋は移民のための重要な情報ハブになっている。
てくてく歩いて、図書館と、あちこちにある場外馬券売り場を見学。競馬が町に浸透している。ゴール直前、広東語で叫ぶおじさんたちの声……。
市場の食堂で鶏鍋をつつく。鶏がまるごと一羽入っていて頭や足の形はエグい。隣のテーブルで喧嘩が始まったが、食堂のおばちゃんたちがさっとうまいこと仲介に入る。「No fighting. Communication」とおばちゃん。
Stéphane Noëlに誘われて深夜0時から中環のバーで行われるDJパーティへ。土曜の夜、このエリアはこの種のパーティで大騒ぎだったが、そのほとんどは西洋系の人々で、英語ばかりが聞こえてきた。昼間の街なかでは98パーセントが非西洋系なのに、ここでは逆に98パーセントが西洋系なのだった。パーティは朝の6時まで続くので、3時過ぎまで踊りまくったところでステファンを残して退散。