BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

マニラ再訪日記10日目


今日も6時に起きて学校へ。フィリピンに来てからおそろしく早起きになっている。かなり山の奥深くへと入っていく。幼い少女が我々のジプニー出現に驚いたのか、下半身丸裸の状態で口をあんぐり開けている。やがてタパパン村(Tapapan)にたどりつくと、こちらを見て子供たちがひそひそと噂話をしているが、近寄ってはこない。

 

タパパン村で扱うテーマは「商業的農業(comarcial gerdeny)」。約束の9時に着いたがまだ穏やかなフレール先生以外誰も集まっていない。まあこういうことはフィリピンでは日常茶飯事なので今さら驚かない。どうせしばらくかかるだろうから、付近を散策してみることに。村人たちは決して排他的ではないものの、シャイなのか、挨拶しても気恥ずかしそうにモゴモゴ何か言うくらい。路地を下っていくと、教会の敷地っぽいところ人々が集まって歌をうたっていた。なんだかやさしい気持ちになる。

 

生徒たちもやっぱりシャイだった。演じているあいだに君たちは何を感じたり考えたりしていたの?、とりっきーが訊くと、恥ずかしくてナーバスになってしまったとのこと。外国人に観られる体験なんて自分もなかったし、何でも最初は初めてなんだから心配することないよ!と励ましたものの、にらめっこをしてみたら1秒で瞬殺……。うーん、ハンジョン、シアターゲーム頼むわ……ということで彼らの身体や心をほぐしてもらう。そのままシーンの稽古もしたものの、最後に眞理子さんが、今のはあくまでも一例に過ぎないから、あなたたち自身のパフォーマンスをつくってくださいね、と伝える。

 

演劇のラストシーンは、農薬をやめて有機農業に戻ろうとしたものの、今さら昔の生活に戻ることができず、もういっそ外国に行きたい……と歌って終わるものだった。それはとても悲しいけれど、やさしくもあるメロディだった。この村で生まれ育ったフレール先生が作詞作曲したものらしい。フレール先生と一緒に高台からムガオ山を望んだ。ニョキッと突き出たような不思議な形をした山で、おそらくはこのあたりの人々にとってシンボリックな存在なのだろう。いっそ外国に行きたい……という歌のメロディがしばらく耳に残った。

 

 

続いて、今回最後の訪問となるバナオ。学校の敷地に入った瞬間に、なんだこれは…………カオス……? りっきーが、いいっすねこの感じ、好きっすわ、と言う。なんだか変なエネルギーが満ちているのを感じる。そして子供から大人までいろんな人が出入りしている。おそらくこの学校は単なる教育機関ではなく、村の広場でもあるのだろう。演劇にも野次馬が集まってくるし、子供たちは平気で舞台の上に腰掛けて観ている。周辺を歩いてみたが、このあたりの他の集落と比べてもかなり貧しい町並みで、雰囲気としてはスラムに近い。

 

バナオでのテーマは「水の汚染」。子供たちのパフォーマンスには目を見張るものがあった。冒頭から凄いエネルギーに満ち溢れており、超面白い。ノリに感化されてわたしもつい奇声をあげてしまった。しかも我々の旅の無事を祈ってダンスまでしてくれた。もう我々の出る幕はないくらい。りっきーも「もっといけるからがんばってね!」とだけ。わたしも、シーンのつなぎをもっと面白くできるはずとか、現実にだけ囚われる必要はないから最後をフィクションにしてみる手もあるかもね、とサジェスチョンした程度。「フィクション」という概念が彼らにとってどれだけ馴染み深いものなのかはわからないけど。

 

後でリリーが教えてくれたところによると、このあたりは首狩り族(ヘッドハンティング)として恐れられていたという……。今はさすがに首は狩らないが、何でもコンペティション(競技)にする傾向があるとか。なるほどこの子たちのアグレッシブな雰囲気はそうした歴史的背景にも影響を受けているのかもしれない。男の子は雄々しく、女の子はおしとやか。くっきり雰囲気が分かれている。

 


帰りに市場街でベリーのワインを買う。ボトルで120ペソくらい。ちょっと甘いけどなかなか美味しい。そしてサリサリ(商店)でレッドホースを立ち呑みできる店を発見したが、あまりに寒いので呑むのは断念。フィリピンにまさかこんなに寒い場所があるとはね……。さすがにこの夜は、お湯を沸かして浴びることにした。

 


翌朝は5時に出発してバギオに帰る。しかしドライバーのジュンさんはかなり陽気に酔っ払っており、寡黙なはずの彼が調子よくベラベラ喋りまくってひとりで笑っている。酒乱じゃねーか、笑。しかしエキが「彼は大丈夫、私が約束する。ただし5時の約束が6時になるかもね」と予言する。そう言うエキもだいぶ酔っていた。何しろ彼らは80度(!)のジンを4本も空けていたのだ。わたしが、先に帰った眞理子さんに怒られるからちゃんと今日のできごとをシェアしといたほうがいいんじゃないの?、と提案したものの、いやいやこれがフィリピーノスタイルだ、とかなんとか言って拉致があかない。オーケーラン(OK lang)。そもそもミーティングとか好きじゃないし、やらなくて済むならそのほうがいいもんね。

 

すでに別人格にトランスしたジュンさんが、女の人を口説く時はどうするか?、とか言いながらジンの回し呑みを勧めてくるので、うまく逃れるためにクイズを出してみた。

 

 

「I love you」という英語のフレーズを、19世紀生まれの日本の小説家が日本語に訳しました。「私はあなたを愛しています」ではありません。「私」も「あなた」も「愛」も使いません。さて、どんな言葉でしょう?

 

 

 

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