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BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

マニラ再訪日記2日目


熟睡した。ぶっちゃけ10〜11時間くらい眠った。眠れる時に眠っておくのは異国でしのぐ上では大事なのだ、と言い訳を自分にして、仕事も考えないことにして、ひたすら眠った。夢はすでに英語が混じるモードに切り替わっているが、またいつものように、たまに行く町をめぐるもので、深夜0時過ぎ、つまり終電後の世界をさまようのだった。わたしはいつも終電に怯えているのである。しかしそれは、終電をなくして家に帰れなくなることを恐れているのではなくて、人が去ってしまうことを寂しく思っている。実際どうかはともかく夢の中ではいつもそうだ。で、この夜の夢は、殺し屋に占拠されたある呑み屋のビルに忍び込んでそれを奪還するというものだった。夢の中ではトドメを刺されることはないので、なんとか忍び込んで酒を呑んでいたのだった。

 


マタリノ通りを渡る。信号はないけれど車の隙を縫って渡る。この能力が衰えてないことを確認して少し嬉しくなる。以前、武田力君と一緒にマッサージに行った帰り、脱力しすぎてこの通りを横切ることができなくなったことがあった(クローディアによれば、だったら今度は「こちら側」のマッサージに行きなさいよとのこと、笑)。しかもそのあと体調を崩した。結局のところ、異国での短期滞在は、くつろいでいるようでいても身体はどこか緊張している。それはサバイブのために必要な緊張ではあるものの、今回はなるだけそこを馴染ませるようにしていきたい。


ともあれ懐かしのシアトルズカフェで朝食。ああ、サニーサイドって、卵が太陽の形をしているからそう言うのね、と恥ずかしながら目玉焼きを眺めて初めて気づいた。ほどよいところで近くのスーパーマーケット「PUREGOLD」でシャンプーなどの生活必需品と、今夜のディナーのためのレッドホース1リットルを購入。両替もする。レートは空港(0.394)とほぼ変わらない1円=0.395ペソ。換金するところを子供に見られたので、後をつけてこないか気にしながらマシグラまで帰る。残念な話だけど、その昔イェンイェンもこのスーパーの前で襲われたというし、油断はできない。ゴルゴ13のような気分で背中に目をつけて歩く。


マタリノ通りはこのあたりの繁華街(?)であり、路上生活者たちがかなりいる。ケソンシティは大学(UP)などもあって、マニラの中心市街に比べると比較的落ち着いているのだが、スラム化しているエリアはいたるところにあり、「地球の歩き方」に書いてあるように「スラムに立ち入るな」と言われても、路上を歩くかぎりそれはほぼ不可能ですよという話になる。『演劇クエスト』をこのマニラでやるとなったら、この貧困と無秩序に何らかの形で立ち向かうしかない。


マシグラ通りの部屋に戻ると、しばらくしてユキが吠える。アイサ・ホクソンとドラマトゥルクのアルコがやってきたのだ。去年のTPAM以来の再会。彼女の作品『HOST』は横浜とはずいぶん違うバージョンに育ったらしい。彼女らは相変わらず世界中を飛び回っており、週明けにはウィーンに『HOST』上演のために渡り、そのあとはアムステルダムでマッチョダンサーのワークショップを行うようだ。名前は忘れてしまったが、緑色の皮をした柑橘系の果物をもらう。甘酸っぱくて美味しい。後で再確認したら「ダランダン」とのこと。2回目の「ダ」は舌を歯に挟んで発音する。

 

シャワー(は出ないので正確には手桶で水をかぶる)を浴びた後、カフェを経由して、マタリノ通りのバーGrooveに移動。懐かしい。そしてここのwi-fiはおそろしく快適! 

 

買い置きがレッドホース1リットルだけじゃ寂しいなと思い、セブンイレブンでサン・ミゲル1リットルを買い足していたらアテ・アイリーンに会う。ディナーの準備は終わったとのこと。一緒に談笑しながらマシグラの家に帰る。アイサ、そしてSipatのメンバーであるアーロンがいる。アーロンは前からなんとなく佇まいが好きなのでまた会えて嬉しい。再びのシャワーを浴びているあいだにようやく空港から武田力くん到着。それからクローディア、サラ、クリスが次々やってくる。招かれざる客、フライングコックローチまで……(クリスが一撃で仕留めた。)


武田りっきーはなんと6ヶ月もフィリピンに滞在するとか。正気の沙汰ではない。とりあえず移動式のタコヤキ屋を始めてみるとのこと。このあいだ横浜で、帰国中の松本文夫さん(セブやバギオで英語学校をひらいている起業家、超面白い人)と話している時に思いついたアイデアなのだ。りっきーはマジで本場・大阪でタコヤキ器を買ってきた。講習(?)まで受けたらしい。我々はあまり本気にしないでりっきーに次々に質問を投げかけるものの(具は何を使うのか、タコヤキの秘訣は何か、それはパフォーマンスなのか、など)、いよいよりっきーが本気だという驚愕の事実がわかり、大いに盛り上がる。日本ではチャルメラの音楽が有名だと紹介すると、こちらでは移動式アイスクリーム屋のジングルがあるらしい。屋台とはつまり文化なのだ。アーロンが、売るのもいいけど物々交換にすれば?、と提案する。なるほどそれはいいアイデアかも。マタリノ、イカウ(matalino, ikaw。あなたは賢い)。フォースでタコヤキをひっくり返して、ライトセーバーで焼けばいいんじゃないか、という話まで出たが、りっきーはまだスターウォーズを1作も観ていないらしいので、クローディアが「今度DVD貸すわよ」って約束を。半年もいればスターウォーズ観るくらいの時間はたっぷりあるだろう。すべてはフォースのために。そして明日は、山の上で待っているジェダイ最後の騎士こと、JKアニコチェに会いに行く。

 

 

 

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