BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

北京1日目

 
どうやらこのブログには、PCからは無理で、iPhoneのアプリなら書き込めるらしい。そんなわけで残念ながら今は画像をアップできない。twitterFacebook、Line、instagramは使えず、google系のアプリもほぼ全滅……。けれどその状態が少し気持ちよくもある。
 
 
5月31日、羽田発。飛行機は東京湾を旋回して、陸の上を飛ぶ。味の素スタジアム東京競馬場を経て、富士山へ。そのまま日本アルプスを突っ切って雲の上に出ると、次に見えた陸地は韓国。ソウル近郊を通る。ああ、北京に行くにはソウルの上を通っていくのかと、考えてみれば当然のことに初めて気づく。
 
中国大陸。とにかく広大な平地がひろがっている。ほとんどは畑だが、経済特区なのだろうか、ビル群がニュッとそこだけ突き出ているエリアがある。まだ行ったことのないドバイも、砂漠の中にこんな感じで突っ立っているのだろうか。
 
北京に到着。空港は巨大で、しばらく歩いて、さらにシャトルで出口まで数分かかる。日本語と英語を喋るご婦人が、連れの白人系男性に、私の一族はここの生まれで……と話をしている。ああ、いつか自分も、どこか外国に住む日が来るんだろうか。故郷が複数ある子どもが生まれるんだろうか。
 
 
出口で国際交流基金の呉珍珍さんが待っていてくれた。TPAMでお会いしていたのですぐにわかる。劇団・地点メンバーの到着はまだらしい。30分ほど待っているあいだに、北京の演劇状況や、これから行く蓬蒿劇場(Penghao Theater)のこと、さらには日本への留学経験のある呉さんの来歴について話を聴く。
 
 
やがてグラサンをかけた三浦基氏と地点の面々が登場。貸し切りのバスで北京市街へと向かう。4〜50分ほど。三浦さんは呉さんに、中国国内の言語の違いについて根掘り葉掘り訊いている。演出家としての関心なのだろう。あと、ビールと白酒についても。こちらは酒呑みとしての関心なのだろう。
 
 
市街地に入ると、赤い看板の辛そうなレストランが目立つ。あとで「地球の歩き方」をチェックしてみたら、「東直門内鬼街」と呼ばれる火鍋専門店のストリートであったらしい。マニラの時の癖で、写真や動画をとにかく撮る。いつか北京でENGEKI QUESTをつくる日も来るかもしれない。
 
ホテルの侶松園賓館は、昔ながらの町並みを思わせる胡同(フートン=路地)の中にあって、風情としては最高。孫文の像が鎮座する中庭は、ジャッキー・チェンの初期カンフー映画にでも登場しそうな感じ。
 
 
部屋に入るとベッドに天蓋がついていて驚く。他の人の部屋にはこのオプションはないらしい。ただしその代わり(?)に、わたしの部屋には冷蔵庫がない。とにかく荷物を置いて、基金の後井隆伸さんも合流し、近くの銀行まで歩いて両替に行く。全員でまとめて両替したのだが、制作チームが中国元を再分配している姿はあたかも人生ゲームか何かのようであり、毛沢東の肖像が刻印された中国元の紙幣はまだ現実のお金に思えない。
  
両替に時間もかかったし暑いので(マニラに比べればはるかにマシだが……)、紫禁城とその眼前の広場に行く計画は断念して、『ファッツァー』の会場となる蓬蒿劇場へ。エントランスを抜けるとオシャレなカフェがあり、ギャラリーがあり、図書室があり、素敵な屋上があり、樹齢200年の巨木があり、そしてもちろん劇場がある。規模はコンパクトだけど、洒落ているし、親しみやすいヒューマンスケールなのがいい。この規模だからこそできることがありそうだ。ただお茶したり、本を読んだりしている人たちもいる。地点の面々は、地下(彼らの拠点・京都アンダースローの隠喩)もいいけどやっぱり屋上っていいよね、とか言っている。
 
 
徒歩10分くらいの、麒麟閣という食堂で夕食。穴場です、という後井さんの言葉どおり、どのメニューもことごとく美味しい! 羊肉を揚げたものをパクチーと和えてクミンで食べるのとか、魚を煮込んだ酸っぱいスープとか(フィリピンのBulaloにも似ている)。ビールはどれもアルコール度数3.5%くらいで薄め。辛い料理が多いせいもあるのだろうか。白濁した自家製米酒も甘くて美味しい。
 
 
公式スケジュールとしてはここで解散。しかしまだ18時過ぎ。ホテルや劇場のすぐ近くにあるストリート・南鑼鼓巷まで何人かで歩く。いかにも原宿の竹下通りっぽくて、若者向けの雑貨屋やアイス屋などが立ち並んでいる。三浦さんはなぜかはしゃいでいて、率先してアイスを買っている。完全に観光地化されているので落ち着くわけではない。けれど一歩、横道の胡同に入ると、時が止まったような静かな町並みがひろがっていて、仙人みたいな爺さんが夕涼みしている。ますますクエストをつくりたくなる。北京というと大気汚染とか、日本への悪感情とか、そんなイメージがあったけれど、やっぱり来てみないとわからないことがたくさんある。もちろんこのエリアも、北京が持つ顔の一面にすぎないのだとしても。
 
 
ホテルの前にある個人商店で青島の500mlの缶ビールを買う。お店は何時まで?、と訊いてみたが英語が全然通じず、それでもなんとかやりとりして(間違ってなければ)19:25までと聞いた。中途半端な時間だな……。ホテルの中庭で何人かで呑んでいると、散歩していた小森さんと史恵さんが帰ってきて、ライチを買ってきたという。ミネラルウォーターで洗って食べる。やや、チャレンジ。しかしお腹を壊すなら今のうちかも。
 
 
夜はひとりで散歩に出ようと思いながら、部屋に戻るなり眠ってしまった。夜中にムクリと起きてシャワーを浴びる。お湯が出るまでに時間がかかる上に、バスタブから水漏れして、洗面室は水浸しになる。まあいい。お湯が出るだけありがたい。
 
 
 

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ホテルの中庭