BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20140526 マンハイム5日目

 

山口真樹子さんの案内で、野村政之くんと共にフランクフルトへ。マティアス・ペースが芸術監督に就任しているMOUSONTURMを訪ねる。ドラマトゥルクのマルクス・ドロスが劇場を案内してくれた。非常にキュートなデザイン。そして、屋上の眺めが最高!

 

マティアスがベジタリアンの店に連れていってくれる。野菜に飢えていたのでありがたい。すごく美味しい。マティアスのマシンガントークに付いていくには語学能力が足りなすぎた。いつか挽回しよう、と密かに心に誓う。

 

そしてフランクフルトを3人でのんびり観光。広場で美味いビールを呑んで、幸せだなあ。そうして駅について、まだ時間あるから、とそれぞれトイレや買い物などバラバラに行動し始めたのだが、その瞬間、イヤな予感がした。乗るはずだった電車が欠便になっており、代替の電車にもすんでのところで乗り遅れてしまったのだった。

 

マンハイムにいるあいだ、イヤな予感がしたのは3度あり、いずれもちょっとした出来事が起きた。この一種の予知能力にも近い感覚を論理的に説明しよう……と考えるうちに「蓋然性」という概念に行き当たったのは収穫だった。『演劇クエスト』の理論にも関係してくるのだが、まあそれはまた別の機会に。

 

そして乗った電車は、途中で止まった。そういうことはドイツではよくあるらしい。振り替えのバスに乗ったのだが、いまいち要領を得ない。ほんとにマンハイムに行くバスなのかどうか、運転手や乗客も混乱しているようで、真樹子さんがドイツ語でかけあってくれたのだが埒があかない。もうこの際、このシチュエーションを楽しんでしまおう、ということで、バスを乗り継いで、愉快な旅をした。途中から野村くんと、これ演劇っぽいね、という話になり、途中で現れたいかがわしい男を知り合いの俳優に見立てたりして遊んでいた。

 

フランクフルトとマンハイムのあいだにある、この名前も知らない町をめぐっていく体験は、もしかすると自分にとっては大きな何かになったかもしれない。時間が止まったような静かな町並みの中に、それでもぽつぽつと人の姿が見えた。バスの中にいたので、彼らと直接話すような機会はなかったが、車窓から見るその町と人は、何か絵画のようでもあり、しかし確かに生きた存在でもあるのだった。

 

この日の写真はここに。

http://twilog.org/pulfujiko/date-140527

 

 

 

最終的にアウトバーンに乗ってマンハイムに戻ることができた。夕方の劇は見逃した(別の日に振り替えてもらった)が、その後、イスタンブールから来ているIşıl Eğrikavukの『Change Will Be Terrific!』を。初日ということもあり、字幕のオペの問題なんかはあったけど、まあ別にそこはいいか、と思わせるだけの構造的な面白さがあった。シリアスな政治的問題(タクシム広場のこと)に対して、アイロニーを込めた軽妙なアプローチで迫る。いずれきちんと紹介したいが……。

 

IşılとJozef Erçevik Amadoは10年くらい作・演出を2人共同でやっているのだという。こういう男女の友情関係は良いなと思った。年齢が近いこともあるけれども、彼らにはなんだか不思議な親近感を感じた。ホテルも同じだから朝ごはん一緒に食べようよ、と誘ってくれたので、じゃあ起きられたらね、とゆるやかな約束をする。

 

かなり疲れていたので、ひとまず早めに帰ることに。桂真菜さんをトラムで途中までお送りし、パラーデ広場のスーパーに入ったらブラジルのBiaがいて、買い物に付き合ってくれと言われ、なんと1時間近く待つことに……。恐ろしくマイペースの人だった。

 

 

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