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BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20140319 地点『悪霊』2回目

 

地点『悪霊』2回目。原作を完全読破して臨んだこともあり、前回よりも格段に、ここで描かれている思想世界や、三浦基と地点がどのように原作からピックアップしていったか……への理解度は高まった。だからこそ、もっとこうしたらわかりやすくなるかも、という部分も見えたのだが(例えば、固有名詞を削除するとか)、おそらくそれを指摘することが批評の役割ではないし、誰か「わからない」観客を勝手に代弁するのはお門違い、という感じがしたのだった。それよりも批評はただ粛々と、作品世界の豊かさを世界に向かっておしひろげていけばよいのだ。その(いつか、いずれの)結果を信じよう。少なくとも、この夜はそう思った。

 

『悪霊』はとてつもなく手強いテクストだとあらためて思い知らされる。その意味ではもっとその深淵へと入っていくことはできるだろうとも感じるし、地点が再びこの作品に挑むような機会が訪れればいいのにと思う。ただ、2回観たのにまったく飽きる気配がなく、できればもう一度観たいと思った(日程的にどうしても無理だった)のは、どうもこの地点による上演作品が、この作品内部だけに閉じていなくて、むしろ背景にあるユーラシアの大地の巨大さにひらかれている、というところにポイントがありそう。例えばわたしは、19世紀ロシアに強い興味を持っていろいろ調べた。無政府主義者バクーニンの世界一周とか。このような知的好奇心を喚起される舞台はほとんどない。

 

 

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