BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20140124 杉田敦「ナノ・スクール」

 

blanClassで毎月やっているらしい美術批評家・杉田敦の「ナノ・スクール」に初参加。まずblanClassの小林晴夫さんと角打ちで待ち合わせてここで杉田さんと初対面。行きつけらしい。うなぎの寝床というか穴蔵のような凄い場所で、野毛や伊勢佐木町や黄金町のあたりともまた客層が違う。うちの近所の感じにも近いけどもっと土着(?)の感じがした。井土ヶ谷から保土ヶ谷に向かうあたりは実際に「谷」になっている。

 

杉田さんは声がすごく渋くて良かった。そこで小1時間飲んだあとblanClassでゼミ&ワークショップのようなことをして(最後に明かされたこの日の裏テーマは「ポストモダン」であった)、さらに立ち飲み屋に出て受講生たちと一緒に(彼らの終電まで)飲むことに。

 

なんというかこれはすごく理想的な「学校」ではないかしら。もっと固い美術講義のようなものをイメージしていたけど(良い意味で)完全に裏切られた。自分自身の身体や言葉を使って学んでいく、そして真剣に(遊び心をもって)語り合う、という機会が果たして今どれほどこのニッポンで確保されているのかといえば、あまりないと思うし、とても貴重だと思う、こういう場所は。

 

杉田敦の『ナノ・ソート』を読むと、語り手が特定のジャンルの内部に(あるいは上に乗って)いるわけではなくて、移動し続けている感覚がある。紀行文であることと、作品や作家を語ることとのあいだにほとんど質的な差異が感じられない。何の話をしているのかと思えば実は作品について語っていて、そして気づくと語り手(批評家)自身がフッと現れて作家の傍らに立っている。その感じと、井土ヶ谷の角打ちでおっちゃんたちに混じっていることとのあいだにもおそらくは何かしらの共通性がある。