BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20131128 地点『ファッツァー』

 

新幹線で京都へ。思いのほか寒かったので京都タワーでひとっ風呂浴びてから、バスに乗って、初めて地点の新拠点アンダースローへ。ブレヒトの戯曲を演出した『ファッツァー』を観る。す、素晴らしい……。自分の観劇史上かなりメモリアルなものに。

 

当日パンフに三浦基がみずから書いているように、極めて前衛、かつエンターテインメント。この日は空間現代の生演奏バージョンで、その音楽と、俳優たちのプレイとが凄いレベルでせめぎ合う。断片化された音に合わせて、地点の俳優たちの演技はマイムっぽいコミカルな動きをしつつ、時々、ロングレンジの奇妙な演技がやってくる……。

 

わたしはここ最近、地点=ドリフターズ説を唱えてきた。難解そうなイメージと裏腹に、彼らにはコミックバンドっぽいところがある。……という話を空間現代の3人にしたら、「あー、分かる!」と言ってくれたけど、でもその説も浸透する前に終わりですね。というのは、小河原康二が加わって地点の俳優は6人になったから。他の5人はわりとアグレッシブな演技をする俳優たちだから、やる気があるのかないのかわからないふうの小河原さんが入ることで、全体の演技の質感はかなりひろがっている。

 

ある脱走兵が革命を志しながら、仲間に殺されてしまうこの物語は、どうやら「敗北者」をテーマにしている。革命は失敗するのである。今回の三浦演出で興味深いのは、「ファッツァー」が極めて匿名性の高い存在にされているということで、そのせいか、今の日本にも大いに通じるところを感じてしまった。『ファッツァー』はこれからレパートリー作品として上演されていくそうなので、ぜひたくさんの人が京都まで足を運んで目撃したらいいと思う。

 

 

ところでアンダースローにはバーが併設されていて、ビールやワインが飲める。この日は某国の元文化大臣や、ハンス=ティース・レーマン夫妻らが来ていて、5つか6つくらいの言語が飛び交っていた。

 

さらには地点の俳優・小林洋平によるサンプラーを使ったスーパープレイの余興もあり。いやあ、笑った笑った。そして実はちょっと感動もしました。地点ファン必見なので何かの機会にやってほしい。

 

ちなみに以前、橋本倫史くんが編集している「HB paper」にエピソードを書かせてもらったんだけれど、地点はまだ東京にいた頃から知っていて、なので、ついに彼らが自分たちのアトリエを持った、という事実にはちょっと個人的にも感動を禁じ得ないものがあります。

 

 

終わって、地点事務所へ移動。三浦基氏手作りの料理をふるまっていただく。美味い……ゆずづくし。瓶からすくった焼酎など飲みながら、やがて川の字になって眠る。

 

 

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