BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20131109 F/T13開幕

 

F/T13のオープニング・イベントで、岩城京子さん、鴻英良さん、鈴木理映子さんとF/T主催プログラムの各演目を紹介するトーク。たくさんの方が聞きに来てくださった。それぞれの問題意識をぶつけつつ、3時間近くがあっという間に過ぎた。チョコレートが役に立った。

 

宮沢章夫×いとうせいこう×ダブマスターXによるイェリネクの朗読では、オープンマイクが立てられ、観客たちが次々とそこに立ってイェリネクの言葉を読んでいく。仕込まれているのかと思ったら、サクラはいなかったと後で聞いて驚いた。夜のレセプションで宮沢さんが、「あれだけの人がマイクの前に立ったのは、これまでのF/Tが〈参加する〉ということを積み重ねてきたからだと思う」と仰っていたのも印象に残った。コンセプトが人に浸透していくには時間がかかる。F/Tがここ数年で積み重ねてきたものは大きい。

 

シアタースタジオ・インドネシアの『オーバードーズ:サイコ・カタストロフィー』は、個人的には昨年同じ場所で上演された『バラバラな生体のバイオナレーション!』のほうが好きではあった。理由は、竹で組まれた今回の劇空間が、昨年に比べるとある囲われた形状の中に閉じていると感じたことと、良いか悪いかは別にしてサーカス的な側面に寄ってしまったのではないかと思ったからだけれども、とはいえこの有機的な身体と物質の設計にはやはり見所がある。いっそ、現代人的な衣服を着てやってみたらどうなるのだろう。これをつくった演出家が今はこの世にいない、ということをどう受け止めればいいのか。急逝したナンダン・アラデア氏の冥福を祈りたい。

 

夜はレセプションでいろんな方々と話す。イェリネクの翻訳をされている林立騎さんが、ハンス=ティース・レーマンの論文「ポストドラマ演劇はいかに政治的か」を翻訳しており、今度出版される「F/Tユニバース」の本に掲載されるらしい。林さんの言語感覚(音感、リズム感)は、論文においてどのように体現されていくのだろうか。

 

さらに移動して、山崎健太くんが主宰するPerforming Arts Critics2013の飲み会に少し顔を出す。これは昨年のブログキャンプ(岩城京子主宰)参加者を母体として結成された自主的な集まりで、今年の11月と12月に上演される様々な舞台芸術について批評を掲載していくとのこと。こういう動きが自発的に生まれてくるというのも、F/Tが仕掛けてきたことのひとつの成果でしょう。いつも思うことだけど、人を育てるには時間がかかる。

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