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BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

中国・近況報告その4

trip

上海、ヤバイ! 意識を高揚させられる何かがこの都市にはある。今日の上海話劇中心でのレクチャーはライブ中継もしてもらったのだが、延べ60000人超、最大瞬間風速は4000ビューを超えたらしい。さすが中国……。詰めかけてくれて立ち見まで出た5、60人の観客たちの反応も身近に感じた。

 
遡って昼間は美術館MCAMへ。キュレーターのフーさん、ワンさん、カさんらと話したのだが、当初予定を大幅に超えて3時間半くらい話し込んでしまった。ホワイトキューブでもありブラックボックスでもあることを意識したという、元々は工場だった空間も素敵で、きっとここで腕をふるってみたい日本の演出家はいるだろうなと思ったし、わたしもなんだかワクワクした。とにかく話が面白かった。もしかすると演劇よりも現代美術系のほうが、日中の共通言語があるのかもしれない。コミュニティアートについてもだいぶ話した。上海でもっと仕事してみたい。それは非現実的な選択肢ではないと感じる。
 
夜は、上海話劇中心の佳代さん(中国人です)にご馳走になった。とても美味しかった。去年、地点のワークショップの通訳だったエミーも来てくれた。エミーがいる時のシンシンは普通の女の子に戻ったような顔をする。
 
だんだん、少しずつ、人々の素顔の一面が見えてきている。2回目、というのはやはり大きい。そう、ダミンもレクチャーに来てくれた。彼女に初めて会ったのはドイツのマンハイムで、去年再会し、バイクの後ろに乗せてもらい夜の北京を疾走したのだった。気持ちよかったなあ。ポンハオ劇場で働いていたホイホイさん。そして去年、Kさんが「我爱你」と言って口説いていた女性も姿を現した。レクチャーの後で彼女はしばらく入口のあたりに佇んでいたのだが、それはたぶんわたしを待ってくれていたのである。彼女は、私のことを覚えていますか?、と言う。それに対して、もちろんですよ、元気でしたか?、とわたしは応じるはずだった。しかし後片付けをしたり人につかまったりしているうちに彼女は黙って姿を消してしまった。彼女は一抹の寂しさと諦めをもってエレベーターを降り、夜の上海に消えていったのである。結局彼女が何者なのかよくわからないままなのだが、とにかく、彼女たちの時間がちゃんとこの世界で流れているのだという当たり前の事実をあらためて知ることができて嬉しい。ひとりの人間が認識できる領域はごくわずかにすぎない。体験できることも。分身の術が使えない以上、すべてを把握することはできない。そのことが愛おしい。人生は断念の連続である。だがこうとも言える。人生は運命の連続である。