BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

マニラ滞在記3 22日目(2016/6/6)

 

月曜日。午前中に大雨がやってくるが、今のうちに降ってもらえるのはありがたい。興奮度MAXのJKが「ENGEKI QUESTの舞」を踊ってくれる。本人は日本のアニメに影響を受けているんだ、とか超適当なことを言っている……(もちろんジョークです)。

 

その舞を入れた、トレイラーのフルバージョンはこちら。

 


 

やはり当日には様々なトラブルが発生するもので、前夜にセブンイレブンで携帯のチャージをしたはずなのにうまくいってないとか、Daddy Yoが風邪のため工場に出勤できないとか、お願いしていたミーティングポイントの店にビールがないとか……。やっぱりこんな時、いつも一緒にやっている人がいてくれると心強いんだけどなあ。とはいえ特に今回は、予定外のトラブルは当然起こりうるという想定のもとで組んでいる。もしもどこか一部が機能不全に陥っても上演が破綻しないように。


 
早めにマリキナに到着。ジプニーやトライシクルを乗り継いで有名店でPutoを買い、靴工場へのおみやげに。コーディリエラを訪れた際に反町眞理子さんが、とにかく何度も足を運んでの根回しが必要、口約束ではダメ、と言っていたのを思い出したので。個性的な魅力のあるDaddy Yoが今日いないのは残念だけど、靴工場では温かく迎えていただいて、とりあえず見学はOKということに。

 

そうこうするうちにスタート時間の15時に。ほんとはサントラン駅で冒険者を待ち構えたいところだけど、今回は隠れて待ち構えたほうがいいだろうと思い、先に進むことに。とりあえず右回りルートを歩いてみたが、いつものように牧歌的な雰囲気が漂っている。まあこういう感じなら大丈夫だろう。たまにインターンのマークとライル、そしてブランドンに現在地の情報を送ってもらって戦況確認。なぜか左回りをお願いしていたブランドンが右回りになってるけど、ま、いいか……。いつも以上に計画通りに進まない。そう、ここはフィリピンなのだ。


雀荘に隠れて時間ギリギリまで待つことに。ここにもputoをおみやげに持っていったら大変喜ばれ、豆を煮たもの(名前失念)をたらふくご馳走になる。jong-itsは相変わらずルールが難しいのだが、それでも前よりはだいぶ理解できる。遠隔で戦況確認しながら、2時間ほどここにいたと思う。今日は下ネタのおじさんもそれなりにツイていて、弁舌冴え渡っている。残念ながら、ここには誰も冒険者はやってこなかった。


夕方からまた雨が降ってくる。だんだん強くなる。『演劇クエスト』初の大雨となった。参加者の「冒険の書」はぐちょぐちょになったが、まあこれはこれでスペシャルな経験か。ミーティングポイントとなった川沿いのレストランでは、恋人たちが雨の中、ロマンティックな時間を過ごしている。彼らを冷やかしながら、ビールを呑んで語らった。

 

 

それにしても、ほとんどの人が右回りルートを選んでいたという事実は衝撃だった。設計上は6:4くらいになるようにしたつもりなんだけどなあ……。とはいえ右回りの人たちはdead dogのところで面白いことになったらしい。(http://engekiquest.blogspot.jp/

 

このデイヴィッドの「冒険の記録」の最後が、魚が跳ねた描写で終わっているのは興味深い。なぜ彼はそれを書いたのだろうか?

 

 

フィリピン人のみならず、オーストラリア、イギリス、ドイツ、ベルギーなど、海外から来ているゲストにも「自由度と設計されている部分とのバランスがすごくよかった」などと好評で、ひとつの達成感はある。ただ国際交流基金の桶田真理子さんが、『演劇クエスト』は完成しましたね、と言ってくださって、その言葉をありがたく受け止めると同時に、ああ、確かにこれはこれで(そりゃもっとできることは無限にあるけど、システムとしては)完成してしまったなあ、という気持ちもある。もちろん他の土地では課題も異なるし、やりたい欲望は俄然あるのだけれど、来年のKARNABALに関しては、『演劇クエスト』をやるかどうかも含めて、いったんフラットな状態に差し戻したくなった。

 


豪雨の中、JKやタソスらと一緒にサントラン駅までトライシクルで。駅のホームに着いた頃には稲光り。そんな嵐の中、アーロンがひとり誰かを待っている。最初その構造が全然わかってなかったのだが、彼女の作品『Tren』は、出会い系アプリを使い、やってきた人としばらく時間を過ごすその様子を、みんなでこっそり観察するという趣向。つまり非常に倫理観が問われるものになる。少なくとも窃視するこちら側としては、やってきた男性をバカにするようなことは絶対にしてはいけないだろう。ただそれも杞憂に終わった。男が来なかったのだ。それで急遽、参加者のひとりがその男役をやることになり、電車に乗ってサントラン駅から終点のレクト駅まで行った。そして折り返してアノナス駅で降りて終了。

 

不発に終わったものの(不発だったからこそ?)、わたしはこの作品がなんだか好きだった。周囲の乗客たちの姿が不思議と目に入ってくる。例えばルービックキューブをしている男とか。苛立ってるおばさんとか。

 

マリンガ通りのトマトキックで、タソスやアーロンとしばらく話す。タソスは『Tren』も『演劇クエスト』もかなり気に入ってくれたようで、やや興奮して感想を話してくれたのだが、彼のイギリス英語はとても聞き取りづらいので何度も聞き返す。とはいえこうして作品を通して対話の糸口が生まれるのは嬉しい。アーロンとしても初のソロ作品をやって少しホッとしているようだ。とはいえ『Tren』は明日もあるので、また観に行ってみようと思う。今度は男は来るだろうか?

 

 

 

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