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BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

マニラ滞在記3 18日目(2016/6/2)


木曜日。今日中に「冒険の書」を仕上げないといけない。その気持ちが強いせいか悪夢にうなされ、朝は身体が重い。でも昼くらいから急にスムーズに動けるようになり、動いているジプニーにもスッと飛び乗れる状態に。すると不思議なことに、ここ数日感じていた言語的困難も嘘みたいに消えて、ほとんどの英語を聞き取れるようになった。

 

マリキナの雀荘に顔を出す。ジュース奢るよ、と今日も言ってくれたのだが、このあと友だちに会うからもういかなくちゃ、と遠慮して少しだけ観戦。それにしても卓上を行き来するアレは結構なもので、勝ち続ければギャンブラーとして生きていくことも可能だと思う。けれどコミュニティとしては、負けすぎの人が出てきたら関係が崩壊しかねないわけで、いったいそのへんはどうやりくりしているのか。若い優男風の人がいて、わたしの中で彼は「ドサ健」というアダ名になった。

 

再びジプニーを拾ってマリキナ北部、DITOという小劇場&カフェのアートスペースへ。クリスに紹介してもらったBJ氏を訪ねると、「よく来たな、我が友よ。それでいったい今日は何を知りたいんだい?」と実にフランクである。いきなり本題というのもアレなので、まずはジョメルというスタッフにスペースを案内してもらう。本棚の裏が隠し扉になっていてそこから楽屋に入れるとか、なかなかイカした構造。BJは「アーティストが35歳になったらみんな生活のためにやめてしまう」という日本でもお馴染みの問題を解決するために、ここを始めたという。

 

インディペンデントのコミックマガジン、絵葉書、ボードゲームもたくさん置いてある。なぜボードゲームを?と訊くと、「実はぼくはシャイなんだけどね。ゲームだとフェイクでコミュニケーションをとることができるだろう? つまりアルコールみたいなもんさ」とBJ。そのほか、マリキナについてもいろいろ教わり、「マリキーニョ=マリキナ人」というアイデンティティがあることを初めて知る。2009年の台風オンドイ襲来時のリアルな話や、マリキナの物価が安さ、またディスガスティングな側面(水はけが悪いために夜の市場はけっこう最悪らしい)や、BF以降の政治体制についても少々混みいった話を聞く。


帰りはジプニー1本でアノナスやクバオまで。トライシクルに乗っているあいだに豪雨がやってきて、運転手は「Yey, it comes!」とはしゃいでいる。

 


シパット・ラウィン・アンサンブルの『ゴビエルノ』はかなり変化しつつあるのを感じた。9月に8時間のバージョンをつくるらしく、今回はそこに向けてのワーク・イン・プログレス。そのためか、参加者同士の討議に割かれる時間がだいぶ増えているように思われる。大統領選直後ということで、今後6年に向けてのState of the Nation Address(所信表明演説)をつくりあげるという内容だが、今回はそれぞれの担当分野(教育、健康……)ごとに寸劇をつくるという趣向。マリファナを吸ったら生き返る、みたいな劇を若い子たちがつくっていたのが興味深い。新大統領の政権下ではより厳しく取り締まられることになるんだろうか。そのほか、検閲の問題なども扱われていて、ディレクターのJKもそう言うように、本牧で多田淳之介とコラボレーションした影響も流れ込んでいる。アーティストというのはこうやって、自分が得た体験をフィードバックしていくことのできる人種でもある。

 


夜は執筆のラストスパート。フライングハウスで作業をしていると、やってきたアイサが「OK、邪魔はしないけど、いい気を送ってあげる」とエールをくれる。家に帰るとJKが珍しくひとりで居残っており、珈琲を淹れてくれた。バギオの市場で買ってきたというそれはカシューナッツ風味でなかなか美味しい。つかれたー、と日本語で言いながらJKは相変わらずの動きまわり喋りまくり状態で、「自分はエンターテインメントしちゃう、やめたいんだけど!」とか言いながら元気いっぱいである。

 

朝の8時頃まで、PC2台使いでひたすら作業。実はレイアウト用のPCの「N」と「?」のキーが使えなくなっていて超不便なんだけど、何度か寝落ちしそうになりながら、どうにかこうにか書き上げた。

 

 

 

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