韓国・安山滞在記6日目(最終日)
多田さんは昼から日本で稽古があるため早朝に去ったが(なんてタフなんだ!)、わたしはチェックアウトの12時ギリギリまでホテルで眠る。エレベーターでちょうど芸術監督のユン・ジョンヨンさんと乗り合わせ、お別れの挨拶。本屋で今さらながら安山市の地図を買い、安山駅前のベトナム料理店で本格的なフォーを食べる。超、美味い……!
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海外に行く回数を重ねるにつれて、自分がどんどん「個人」になっていくのを感じる。もともと大学で政治学を学んだことで、「今目の前にある国家や社会だけが、唯一のものではない」ということはずっと考えていた。ただその時は、本で読み、頭でイメージしているにすぎず、それはそれで大事だったし人生の助けにもなったけど、体感としては根拠が乏しかった。今は、異国で暮らす人たちに頻繁に会って話すようになり、この世界のあまりにあまりな多様さを、ある程度、肌で実感できるようになってきている。
しかしそのことによって、わたしが今後も(日本で)生きやすくなるかどうかは、よくわからない。
せいぜい海外に行けるうちに行って、いろいろ見聞して、言葉にする、という作業を続けていこうと思う。
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そういえば多田さんと、遺書の話をした。人間はいつ遺書を書くのだろうか? あらためてそれを書くようなタイミングは、たぶんわたしにはないだろうな。
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……て書くとなんだか暗いけど、楽しんでます。