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BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

マニラ再訪日記13日目


水曜日。アーロンと14時に待ち合わせしていたが、迎えに行けなくなったからタクシーを手配するね、それに乗って!、とのこと。マニラでは流しのタクシーはぼったくられることが多いので、運転手の身元がわかり、事前に交渉できるグラブタクシーというアプリが重宝されている。

 

ひどい渋滞で、まだタクシー業を始めて4日目という新米運転手は大変そうだったが、路地をさまよってくれたので、むしろわたしとしては楽しい。約束通りの217ペソきっかりを要求されたが、御礼の意味も込めて250ペソ支払うとかなり喜んでくれた。

 


アーロンに指定された場所はパシグ川沿いの超高層マンション。警備もかなりしっかりしている。しかもプールつき……。かなりのお嬢じゃん……。部屋の前までたどり着いたところで電話がかかってきて、私たちまだ外にいて少し時間かかりそうだからその辺を散歩しててくれない?、とのこと。オーケーラン。さっきタクシーで通り過ぎたマンダルーヨンの町並みが魅力的だったので、歩いてみることに。

 

スラムとまではいかないが、超高層マンションとの落差があまりにも激しい貧しい地区だった。まさに黒澤明の『天国と地獄』の世界。ここに生きる人たちは、あのマンションを眺めながら日々暮らしているのだろう。しかし貧しいとはいえマンダルーヨンの人々は生き生きとしていて楽しそう。談笑していた女たちがアニュハセオと声をかけてくる。市場もあり、生活はしやすそうで、丸いパンが1個2ペソで買えた。安い……。そして素朴で美味しい。

 

川沿いでアーロン、クローディア、ネスと合流する。打ち合わせ先の人からいわゆるねずみ講の講釈をされたせいで遅れてしまったらしい。へー、こっちにもやっぱりあるんだな。

 

船でパシグ川を下ってキアポの中華街に行く計画。しかし船着場に行ってみると最終の船が10分前に出たばかりだった……。ごめーんまた今度ね、ということで仕方なく、橋を渡ってマカティをブラブラしてご飯を食べたり、ジュースを飲んだり、古い教会を覗いたり。VHSを売っている店を見つけて彼女たちは狂喜乱舞している。これはこれで楽しい。小人ボクシングなどの娯楽施設もあり、夜になれば危険な香りがしそうだった。

 

再び橋を渡るとマンダルーヨン。超高層マンション43階の屋上から、マニラの夜景を眺める。圧巻……。上から眺めるぶんにはただただ美しい。下はカオスだ。けれど、そこにも別の美しさがあると思う。

 


アーロンの運転する車で、パシグ市のアートスペースへ。スペインとフィリピンの映像作家の集いらしく、ブランドンやラルフもいる。しかし開始時間を勘違いしていたようで、メインの時間はすでに終わっていた……。ごめん、今日は変な日になっちゃったね、と彼女たちは謝ってくれるのだが、それはそれで面白い一日だった。ただ昨日までの長旅の疲れのせいかお腹の調子も悪く、明日は矢内原さんへの取材もあるから、帰ることに。いつものマタリノ通りのバーへ。マンダルーヨンの人々の生き生きとした暮らしが脳裏に焼き付いている。そして、この地で『演劇クエスト』をやるにあたっての課題も見えてきた。

 

Today I got a new view point, and find a problem clearly. What will be effective for the audience of KARNABAL in "ENGEKI QUEST". I can imagine that in Yokohama, Kinosaki, Japanese other cities, and Düsseldorf, Los Baños, maybe Baguio also. But in Manila and Quezon City, I cannot imagine yet... it seems difficult.
Through "ENGEKI QUEST", I want to produce strange sphere, time, relationships, and world. But in Manila, ordinary life seems so strong, tough, energetic and chaotic... Fiction can beat this ordinary life? or penetrate into it?
Filipino are interesting for me, you are neither optimistic nor pessimistic. However you are either both. Fantastic...

 

つまりKARNABALの観客たちにとって、何をするのが効果的かということ。横浜や城崎、あるいは日本の他の都市でやる場合は、まだイメージできる。デュッセルドルフにも「移民」という切り口がある。フィリピンでも、ロス・バニョスであれば、UPやマキリン山の高校生たちを対象にすればイメージは可能だ。けれど、マニラやケソンシティではどうか……? 

 

『演劇クエスト』でやりたいのは、異質な場所や時間、関係、世界を生み出すことだが、マニラの人々の日常はあまりにもタフでエネルギーに満ちあふれた混沌としたものであり、そこにどう切り込んでいいのか、未だ見つけられないでいるのだった。フィクションはこの日常に勝てるのか? あるいは、そこに侵入できるのか?

 

 

 

 

https://www.instagram.com/p/BBDFEkfKsvD/

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