BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

マニラ再訪日記8日目


ゲストハウス・タラでコーヒーを淹れて朝10時からミーティング。環境NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)による今回のモニタリングについての作戦会議。面白い。バウコを中心とする山岳地帯マウンテン・プロヴィンス州の8つの高校が2月5日に集まって演劇を発表するので、そこに向けてのアドバイスをするのが目的。どんな地域なのか、行ってみないとわからない。

 
移動手段はなんと自家用ジプニー……! 5時間揺られて行くことに。ドライバーであるジュンさんの素晴らしいテクニックによって揺れは緩和されたものの、排気ガスにひどく悩まされる。後部座席は戦場に向かう兵士のような気分に。寝ようとしてもすぐに転げ落ちるのだが、CGNのメンバーは慣れているのか身体を安定させるのがうまく、特にエキはほとんど微動だにしない。身体を双軸の状態にするのがポイントだという。

 

数日後にはこの道をまたジプニーで戻らないといけないのか……と思うと血の気が引くが、とはいえ出会う景色はアメイジング。すれ違う先住民族系の人々の顔立ちは、モンゴリアン系というか、日本人に近いようにも感じる。赤とかピンクとか橙といった色合いが好きなんだなと衣装を見て思う。ところどころにある「わが村へようこそ!」的な石碑も可愛い。

 


バウコに到着。まずは2月5日の最終発表の会場となるセントラルスクールを下見。会場を見るとやはりそれなりに刺激を受ける。本番を見られないのが残念だなあ。そのすぐ近くドモグにある民宿に泊まる。到着するとすでに宿の女たちが料理をしてくれている。とりあえず水を桶に入れて浴びる。お湯を沸かしてもらうこともできるけど、すでにマキリン山で慣れているので水で済ませた。

 

ディナーは庶民的な料理でとても美味しい……。食材がいいのかなあ。CGNのフィリピン人メンバーはすでに食前に80%のジンを呑んでいてゴキゲン状態。定番の「好きな映画は何?」という話題になり、ゴダールの『勝手にしやがれ』の話をしたものの、かなり映画好きとおぼしきフィリピーノたちが誰も知らなかったので、やっぱり何が輸入されるかは国や地域によって異なるのだな……とあらためて思い知る。ストーリーは男がいて女がいて車があるだけだよ、と言っても当然通じないので、りっきーにジャン=ポール・ベルモンド役を演じてもらい、ジーン・セバーグの「ケスクセ、デグラス」をやってみたものの、皆ぽかーんと口を開けている。その後、特に若いメンバーからは日本のアニメ礼賛があり、それはそれで日本のカルチャーが浸透していることはもちろん悪くない話だと思いつつも、わたしとしてはもはや各所で聞き飽きていることもあり、たぶんこの人たちとは腹を割って話したほうがいいだろうと、率直なところを話す。例えば『スラムダンク』は自分の高校生時代に連載されていたマンガだが、クラスメイトにルカワやサクラギを真似する連中が続出して迷惑だった話とか。こう書いてみると取るに足らない話だが、日本人の中にも様々なリアリティがあることを細かく伝えていくことは時には大事だと思う。特に一緒にワークをする人々とは。もちろんわたしもまた、バスケットボールがフィリッピンの国民的スポーツであることをもっと深く理解する必要があるだろう。ちなみに彼らは同じ作者でも『バガボンド』のことは知らなかった。

 

寡黙な運転手ジュンさんは酔っ払うと喋り出すのが面白い。リリーはこのあたりの地方(コーディリエラ)出身で独特の色気というか佇まいがある。最終的にハンジュンとエキとミカとが残って遅くまで話す。

 

新しい土地に来て興奮しているのか、まだ眠れないので、テラスに出て、満月と、霧に包まれた町とを見ながら、この日記を書く。

 

 

 

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