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BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

デュッセルドルフ6日目 2015年10月17日(土)

 
いかにも風邪、という感じで起きた。鼻水が止まらない。まあしかしこの程度で済んで良かったとポジティブに考えることにする。異国に滞在するには何より気力が大切。薬局で風邪薬を買い、TENTENカフェで少し作業した後、日本総領事館に行ってみたが土日は休みらしい。ぬーん。やむなくフラフラ歩いてアルツシュタットへ。醸造所でアルトビール数杯と血のソーセージを注文。今まで見た中でいちばん混んでいる。なるほど土曜日はこんな感じなんだな。締めにキレピッチュを頼んだら、店員のおっちゃんに「キレピッチュだと?! どうしてお前はもっとビールを呑まないんだ!」とドイツ語で怒鳴られる。もちろんキレピッチュは呑ませてくれた。
 
ライン川沿いまで歩いてみる。こないだは雨で人出も少なかったが、今日はバーもオープンして賑わっている。カモメらしき鳥がたくさん気持ちよさそうに舞っている。鳥たちは日本のそれよりも人懐こいのか、手が届きそうなくらいの低空を飛ぶ。
 
歩き回りながら、今回の『演劇クエスト』の範囲について構想する。少なくとも、インマーマン通りとライン川は入れたいが……移動手段はどうするか? 徒歩だけか、トラムを使うのか? 例えば城崎は町の規模が小さいのと、大谿川沿いに筋が見えるので、そこを中心にしつつ「外」を構想することができた。そもそも日本の場合は山や坂が多いから、それによっておのずと生じる地形的制約を逆にうまく使うことができる。つまり、自然と「道」ができるのである。しかしデュッセルのように平坦な都市の場合、下手をするとどこまでものっぺりと町が続いてしまう。となると、いつも以上に作為的に編集せざるをえないのかもしれない。では出発点から発想してみるのはどうか? 例えばFFTのJutaを起点に考えると、まずはそこからアルツシュタットを抜けてライン川にどうアプローチするが重要になってくる。しかしその場合、インマーマン通りは完全に逆方向になってしまう。
 
あと、デュッセルには当然、神社や地蔵がない。そこかしこにある教会は寺院の代わりになりうるが、デュッセルに点在するモニュメントが、神社や地蔵の代わりになってくれるとは言えないだろう。それらはあくまでも記念碑なのであって、日本の地蔵のようにそれ自体に霊的なものが宿っているとはみなされないからである。奇妙な話だが、一般に無宗教と思われがちな日本のほうが、路上において霊的なものを感じる機会ははるかに多いのだ。ではヨーロッパの人々にとって街路とは、何かと何かをつなぐ通路としての合理的機能以外に、いったいどのような精神的・文化的な意味を持っているのだろうか。各通りに施された、皇帝通りや庭園通りといった名前に、彼らは何を感じうるのだろうか? 例えば、19世紀パリに遊歩者の出現を見出したベンヤミンなら、現在のこの21世紀デュッセルドルフの路上を、いったいどのように観察するのだろう?
 
……そんなことを考えながら帰宅すると、ちょうどアンドレアスさんが外出するところだった。若い男性と女性を連れている。息子さんと、ガールフレンドらしい。ガールフレンドって、どっちのだろう……? これからホームパーティに行くので来るかと誘われ、とてもそんな体調ではなかったけど、ここから5分くらいのところだというのでとりあえずついていって場所だけ確認した。アンドレアスさんはいつでもメールくれと言ってくれる。しかしいったん帰ったらやはり疲れきっていて、まだ19時過ぎだけど思いきって寝てしまうことに。ディナー食べてないけど、たまには胃を休めるのもいいかもしれないな……。夜中にいったん目が覚めると、若い女たちの声がした。アンドレアスさんは案外こうやって若者たちとよろしくやっているのかもしれない。あとはひたすら昏々と眠り続けた。
 
 

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