BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

マニラ5日目

 

熟睡した。アイリーンの娘も無事に帰ってきた。やっぱりパーティだったみたい……。16歳。多感なお年頃なのだろう。安堵がひろがる。そういえば松本伊代も16歳だったなあとあの歌を思い出した。
 
石神夏希を迎えにいくために、武田力と共に空港へ。高架鉄道に乗ってみたかったので、カムニン駅までタクシー……のはずが、通り過ぎてしまっている。運転手をなじるも埒が明かず、仕方ないので次の駅であるクバオまで。行き先確認の時には圧力をもっと高めないとなあ、と反省する。83ペソくらいだったから、100ペソ払って釣りはそのまま……を運転手は期待していたようだが、10ペソは返してもらう。「そんなあひどいぜ旦那」みたいな顔をされたし、我ながらケチだとは思うけど、なんでもかんでも譲歩するわけにはいかないのだ。
 
クバオ駅から高架鉄道でアヤラまで。満員電車……。決して快適とは言えないが、高いところから見るマニラは美しい。ところどころに生える椰子の木が南国情緒を誘うのだが、そもそも椰子の木を「南国の象徴」と捉えるのは外国人だからかもしれない。フィリピン人にとってはきっと当たり前の風景なのだろう。ちなみにこの鉄道、前寄り何両かは女性専用車両になっていて、警備員による厳しい監視がある。入場時には爆発物のチェックもされる。このチェックはデパートでもそうだった。テロリズムへの警戒があるのだろう。
 
アヤラはマカティ地区の主要駅でもある。ショッピングモールでサンダルを買い、軽くブランチ。wi-fiを繋いでメールやメッセージをざっとチェック。こうやってところどころで拾っていくしかない。
 
タクシーで空港へ。石神さんを待つあいだ、帰りの便の変更を試みたのだが、わたしの手前で列が動かなくなった。しばらく待ってみたが、やがて従業員たちもお菓子をつまみ始めている。何ごとか?、と思って訊いてみると、システムがダウンしたという。マジか……。せめてアナウンスしてよ、と思うけどそれは日本の感覚なのだろう。復旧の見込みはないということで、あきらめて別の日にすることに。
 
クーポンタクシーには武田君がトラウマを感じるということで、メータータクシーを拾ったのだが、案の定、メーターを使ってくれない。3人で600ペソだという。最初、3人それぞれ600と言われたが、そんなに払えるわけないだろうと怒ったら、全部で600でいいという。ちょっと高いけれども、もろもろのリスクを考えるとまあアリかと思って承諾することに。パサヤ地区の町並みを見ながら、マラーテを抜けてエルミタへ。武田君は疑心暗鬼だったらしいが、運転手は600ペソですんなりとにこやかに我々を降ろしてくれた。
 
1335 Mabini Stという、住所がそのまま建物の名前になっているアートギャラリーへ。JKの古い友人の展示があるというので来てみたのだった。上の階に行くと、キュレーターらしき人がフレンドリーに話しかけてくれる。さらに上の階で掃除をしていたおばさんもやたらとフレンドリーで、オーストリア人のボスがこのギャラリーを運営しているのだと教えてくれる。立派な古い建物で、20世紀の初めに建てられたものらしいが、それをリノベーションして、アートスペースにしているのだろう。レジデンス可能な部屋もあり、今は日本の映画監督も滞在しているらしい。おそらくは長谷井宏紀ではないかと思うのだが、残念ながら彼は不在であった。
 
ニスの匂いがするな、と思ったら、別の部屋でアーティスト2人が木片に塗料を塗っていた。川俣正に影響を受けているという彼らは、やはり非常にフレンドリーで、オープンな人たちだった。インディとアイエン、という名前だったと思う。もしかしたらまた再会できるかもしれない。ひとまずKARNABALは覗きに来てみてねとお伝えしてみる。
 
それからマニラ・ベイに2人を武田君と石神さんを案内しようと思ったのだが、恐ろしい交通量の道路を信号なしで横断しなくてはならず、石神さんが大きなトランクをひきずっている状態ではちょっとリスクが高いと思い、おとなしくタクシーでケソンシティに帰ることに。
 
何台かに乗車拒否をされて、ようやく500ペソの条件で承諾してくれたタクシーに乗り込む。ふつうにメーターだと300〜350くらいなのだが、ひどい渋滞の中を抜けて、しかも帰り道もあるとなると、嫌がる運転手がいるのも理解できる。逆に、500ペソ程の金額をメーターなしで獲得することができれば、彼らにとっては非常に良い労働をした、ということになるのだろう。運転手はそんなにお喋りではなかったが、機嫌はよく、ここはストリートチルドレンがよくいる、あそこはムスリムのエリアだ、あっちは中華街だ、などと教えてくれる。
 
渋滞のために恐ろしく時間がかかったが、そのあいだに武田君と石神さんに、今回のプロジェクトやマニラについて、いろいろ話す。そしてわたしにとって大きな収穫は、タクシーの窓から様々なジプニーを観察できたということ。なるほど、車体の前面とサイドに経路と行き先が書いてある。まだ無理だが、メトロマニラの様々な地名や道路を覚えれば、ジプニーに自力で乗ることもきっと不可能ではないはず……。
 
マニラには、夜が一気にやってくる。あたりが真っ暗なJKハウスに到着。JKは残念ながら不在で、アイリーンが迎えてくれる。たまたま居たオーストラリアのチームに挨拶して、2人の宿にチェックインしに行くことに。3人で食事をしてからトライシクルで昨夜と同じバーに移動してビールを呑む。マイケル・ジャクソンの映像が流れていて、その偶像化と、それだけに回収されないその身体についてひとしきり話すなど。サラから、クリスの家で待ってて!、と連絡が。遅くまでリハーサルをしているらしい。クリスの家の犬は恐ろしくかわいい。狂犬病は怖いけれども、ここの犬はきっと大丈夫だろう……と信じたい。やがてやってきたサラやデイヴィッドと、このKARNABALについて我々がやることについても少し話す。しかし路上で。おいおい、みんな、ここはコックローチストリートやで。サササッと這ってきた一匹をサラがサンダルで思いっきり踏みつぶした。コックローチに対して特別に怖がるという感覚は彼らの中にはないようだ。そうこうしているうちに、やがて疲労困憊の、だがいつものように陽気なJKが帰ってくる。彼の顔を見ると安心する。いよいよ明日から、フェスティバルが始まる。
 
 
 

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