明日の夜にマンハイムに立つので、弘明寺の温泉銭湯に入って体調のメンテナンスなど。しばらく温泉入れないだろうし。靴を新調した。なんとなく、若い頃に読んだ須賀敦子の『ユルスナールの靴』の冒頭を思い出す。
きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで生きてきたような気がする。行きたいところ、行くべきところぜんぶにじぶんが行っていないのは、あるいは行くのをあきらめたのは、すべて、じぶんの足にぴったりな靴をもたなかったせいなのだ、と。