BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20140315 佐々瞬『彼らとの対話(仮)』

 

blanClassで佐々瞬『彼らとの対話(仮)』。病床にいるみずからの祖母を、亡くなった祖父(満州帰りの経歴を持つ)を装って尋ねていく、というフリをした映像インスタレーション。映像内の時間が進むにつれて、祖母の病状が変わり、台本的に用意されているテクストも、修正テープとペンによって書き換えられていく。こういった何重かのプリテンド(フリ)や、時間の経過が織り込まれていること、また手前と奥とに別の映像が流れるスクリーンを配置することによって同期と非同期をもたらす……といった試みが興味深かった。

 

この作品が創作された動機自体は、おそらくは多くの人が一度くらいは抱いたことのある、家族のことを知りたいとか描きたいとか、自分のルーツを探りたいとか、そういった素朴なものだと思うし、もちろんそれは目新しくはない。しかし佐々瞬のこの作品における、時間と血(歴史)の扱い方には真摯なものを感じた。それは、祖父を演じていたはずの佐々瞬自身が、演じることを断念して、果たしてこんなことをして許されるのか……と訥々と語り始めるという反省が織り込まれているから、ではないような気がする。その反省だって、ただの身振りかもしれないのだから。ただなんというか、まだうまくは言えないのだが、全編を通して、逡巡のようなものが見えたような気がして、それが(観客であるわたしが)あの空間になんとなく佇んで観てしまうという状況を生み出していたように思う。

 

 

そのあとはドトールと温泉銭湯に行って『RE/PLAY』についてのとある文章を書き上げる。ダンスと演出について。