BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20140222 『二重にたぶらかす』

 

二十二会『二重にたぶらかす』@blanClassへ。かなり面白かった。オトナの秘密パーティのよう。いつか再演されるかもしれないし、ルールをまったく知りたくない、という人は(いるのかどうか分からないけど)以下の白字の箇所は飛ばしてもらえれば。タブレットや携帯端末の人は読めないかもしれない。諦めてください。

 

 

まず1200円を12タブラという架空の通貨に変換する。観客は6タブラ払って入場し、残りの6タブラでビールや食べ物を購入したりして90分のパーティを楽しむ。タブラには4つの色があり、いつでも好きな色を「1タブラ=100円」で買い足すことができる。最終的に余ったタブラは円に換金できるが、そのレートはその時点での観客の持ち札によって変動する……

 

パーティではいろんなことが起きる。DJ。ダンス。トランプ。アプリ。罰金。耳栓。いたずら。うんこ味のカレー、もしくはカレー味のうんこ。なぜか20タブラもする猫バーガー(どう見てもただのマックのハンバーガー)。飲み物に赤い糸が巻かれて、みんなぐるぐる巻き。会場は仕切りで2つに分かれていて、「あちら側」にいくためには門番の出すなぞなぞ(けっこうむずかしい)に答えるか、もしくは彼に賄賂を渡さなくてはいけない……

 

その門番が唯一、会場全体を俯瞰できるポジションにいるはずなのだが、彼の告白によると、「罰金とかなぞなぞで忙しくて俯瞰なんてしてられなかったよ」。

 

 

終了後のトークで、みんなで「このルールでどうやったら不正が起こるか?」について真剣に話し合っていた。ひとりが、実はそこに置いてあったタブラをちょろまかしたと告白した。もうひとりが、途中の持ち札の自己申告で嘘をついたと言った。でももっと大胆な不正を誰かに働かせるには、厳罰を設けたり、警察を置けばいいんじゃないかという話になった。なるほどそれはありそう……

 

いちばん好きだったシーン。「この中でだけのカップルが成立して、手をつないだら1タブラ差し上げます」という貼り紙に気づいた女性2人が手をつないで、「あちら側」に行こうとしたのだが、ひとりが門番のなぞなぞに答えて、もうひとりはその答えがわからなくて、しばらく、その境界線上の「あちら」と「こちら」で2人は手をつないだままでいた。不可思議な状況ではあるけれど、考えてみれば、現実の世界でもこうしたことはしばしば起きる。2人はなぜかパーティが終わってからもずっと手をつないでいて、最後の「タブラ→円」の換金の段になってようやく手を離し、「金の切れ目が縁の切れ目ですね」と寂しそうに言った。