BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20140130 『シーザーの孤独な戦略』

 

20日間ほど日記を書けなかったのだが、この日の記憶として残っているのは、いつもの温泉銭湯に値上げのお知らせがあったことで、理由はやはり電力価格の高騰だった。まあ、やむをえないと思った。

 

原発を手放すことによって生じるであろう様々な帰結の中で、ひとつだけ残念に思うのは、宇宙旅行の夢が遠のくであろう、という事実で、SFでよく描かれるワープ航行とかは厳しくなるだろうと想像する。だけどまあ、人類は地球サイズで生きていくということでいいかな、と最近は思っている。

 

 

そんなことをつらつら考えていたこともあり、この次の日、1月31日に観たミクニヤナイハラプロジェクトの『シーザーの孤独な戦略』はぐさっと来た。おそらくは放射能によって汚染されているのであろう土地(旧人間はマスクなしでは生きられない)が描かれており、矢内原美邦版のタルコフスキー的世界のようにも感じた。

 

途中まで、無用の饒舌にも見えるこの世界観をどのように捉えていいのかわからなかった(それは必ずしもネガティブなことではない)けれど、本多力による「10年後」を想像させるセリフにずきゅんと射貫かれて、そこから終盤にかけては、言葉、身体、イメージ、想像力のうねりと躍動に魅了されっぱなしだった。

 

こういう言い方は語弊があるかもしれないが、若い作家には描くことの難しい複雑な感情や思考のさざめきが、かなり感覚的な豊饒さとなって舞台に現れていたように感じる。3人の役者(足立智充、光瀬指絵、本多力)もとても魅力的だった。