BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20131217 メガヒット・オア・ダイ

 

狂っているのは誰なのか。

 

ずいぶん久しぶりに近所の立ち飲み屋に寄ったら、サングラスをかけたおじさんが一杯奢ってくれた。テレビからは「2020年の東京オリンピックに向けてひとつになりましょう!」的な声が聞こえてくる。この放送局の男性アナウンサーの声はなんだかみんな似ている。かつての同級生が勤めているので「ん、あいつかな?」と思ってついテレビを見てしまう。だけどまったくの別人。

 

それにしても。政治的な支持率にしても、ドラマの視聴率にしても、メガヒットか低調か、という二極化が進んでいるのではないですか。人気があると踏めば、みんなワッとそこに飛び乗るし、そうでなければ冷淡に扱う。言葉の価値は今やすっかり凋落している。言葉のデフレ状態。もう紙屑みたいになってしまった。

 

サンガツの小泉篤宏さんのFacebookで紹介されていたので、佐々木暁さんの文章を読んだ(http://www.kinokuniya.co.jp/contents/pc/20131202201201.html )。『演劇最強論』の装幀を手掛けてくださった方でもある。この文章で書かれていることは、わたしが「極私的」という言葉を通して考えていることにも近くて、しかしもっと深い、この世界に存在するマテリアルへの愛情を感じる。あるモノや出来事に対して、そこに生起する感情を蔑ろにしない、ということは今ではかなり難しくなってしまった。紙屑みたいな定型文の言葉の罠から、どうやったら逃れられますか。