BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20131123 木ノ下歌舞伎『東海道四谷怪談』

 

木ノ下歌舞伎『東海道四谷怪談通し上演』。6時間、思っていたよりもあっという間だった。とりわけ3幕が素晴らしい……鶴屋南北の群像劇の手腕がよく現れているなと感じた。

 

俳優たちの演技のバックボーンは様々で、それをいっぺんにこの舞台に載せたというのは、演出家・杉原邦生らしい暴挙であり、また彼の良いところだとも思う。「穴」があるのだ。そうした「穴」を恐れずに舞台にあげるには、演出家の自信と実力が必要だ。

 

実は数日前に通し稽古を見学に行った時、伊右衛門を演じた亀島一徳が、ふだん所属しているロロと同じ演技というか手癖に頼っている感じがして、少し不安だったのだが、蓋を開けてみたらまったくそれを感じさせなかったというね。伊右衛門は、お岩を罠に掛けた極悪人というわけではなく、単に仇討ちなどの「聖戦」の物語にノレなくて、ほんとはただお岩と楽しく過ごしたかっただけなのだが、ある「やさしさ」のために流されてしまった……と思わせる説得力があった。グッジョブ。そしてそのほうがはるかに「怖い」わけだ。誰もが伊右衛門になりうるわけだから。

 

いろいろな俳優が印象に残った。茂七を演じた田中佑弥の成長ぶりには目を見張る。どんどんいい俳優になってるな……。お花役の田中美希恵はハマり役すぎる……とか名前を挙げていくとほんとうにキリがないくらい良かったのだが、特に直助権兵衛役の飯塚克之はちょっとどうかと思うくらい良かった。。。深川三角屋敷の場面は滂沱の涙。

 

良い芝居を観たあとはやっぱいいもんだねえ~、という感じでもつ鍋を食べた。

 

 

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