BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20131114 『四谷雑談集』、ラビア・ムルエ

 

中野成樹+長島確『四谷雑談集』。『四家の怪談』とは異なり、こちらは「四谷怪談」のベースとなっている「雑談集」にまつわる土地を、大人数で解説付きでめぐっていくツアー。大谷能生作曲の「あおぞらDestiny」を流す車が回遊したり、何人かの俳優がコスプレして待っていたりはするものの、基本的にはこちらも大きなパフォーマンスはない。中野さんについて歩くコースをとったのだが、四谷は「谷」というだけあって高低差がものすごくあり、さらには神社仏閣が多い……ということはお墓も多くて、そのために、空がぽっかり空いていたりする(墓の上には建物が建たないから)。つまりこのエリアでは「あおぞら」が奇妙な高低差をともなって、都市の中に出現するのである。

 

 

夜はラビア・ムルエ連続上演。狙撃者とカメラマンが両睨みになるダブル・シューティングを取り上げたビデオ作品『ピクセル化された革命』の上映は、非常にクレバーであり、畳みかけるようなラビア・ムルエの論法を聞いていると、騙されているかのような気持ちにもなってくる。

 

『33rpmと数秒間』は、生身の俳優がひとりも出てこない演劇。自殺した若い有名アナーキストFacebook上に、様々な「フォロワー」のコメントが寄せられる。その様は、日本のネットの炎上状態とほとんど同じであり、これが「遠い」中東の話だといって片付けることはできなかった。「不寛容」はあらゆる世界にはびこっているのである。いっぽうで、宗教・思想信条・言語に対する感覚は、日本とはずいぶん違うとも思った。

 

この作品内では4つの言語が飛び交っており、情報量もとてつもなく多い。この饒舌ぶりが魅力のひとつでもあるのだろう。いやはやほんとにクレバーな作家だ……と思って舌を巻いた。なんてクールな作品なのだろう。この「挑発」する感じには、とても惹かれるものがある。

 

終わって、岩城京子さん、鴻英良さん、F/T武田知也さんと『四家の怪談』に関する立ち話をしていて、なんとなく鴻さんに誘われるままにラビア・ムルエ&リナ・サーナーたちと飲みに行ったら、シアタースタジオ・インドネシアの打ち上げも同じ場所でやっていて、終電でさくっと帰るつもりがまあそううまくはいかなかった。

 

 

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