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BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20130913 地点『レンツ』

 

夕方から、赤坂と青山の中間あたりにあるドイツ文化センターで、地点の『レンツ』を観る。リーディング公演、との触れ込みだったけれど、いやいやただ「読む」わけでは全くなく、地点のさらなる進化型、つまりは、地点語の音楽化をまざまざと見せつけられることになった。コントラバスが実際に参加しているけど、俳優たちももはやそれぞれに「楽器」と呼んでいいと思う。独特のユーモアも炸裂していて、初めて観る人にも親しめる作品になりうるのではないか(もちろん大いなる異物感と共に、であるとしても)。京都に開設された彼らの新拠点アンダースローにも早く行ってみたい。

 

主宰の演出家・三浦基は数作前から宗教の問題、特にキリスト教と天皇制に意識的にアプローチしていると感じる。イェリネクの『光のない。』を昨年上演した時は、「神が死んだ」あとの世界、すなわち現代の虚無を描いていたように感じたのだが、ビューヒナーの『レンツ』は、まさにその「神が死ぬ」プロセスを描いている(と当パンにも書かれてある)。ここで重要なキーワードとして「自然」が浮上してくるのが興味深い。それは、人工的な都市を離れて主人公が逃げ込む癒しの場所だが、同時に、いやそれ以上に、彼を虚無的な世界に引きずり込む魔の森でもあるらしい。これはいかにも西洋的な「人間vs自然」のテーゼであるようにも思えるけれど、しかし今回の舞台のように、地点の手を介して日本で今上演されるということによって、では日本の文脈とどのように結びついていくかということをもう少し考えてみたい。戯曲(新訳)を買ってくればよかった。忘れていた。

 

乗換駅の新橋に、地下街を発見し、立ち飲み屋でビールを数杯ひっかけて帰る。