BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20130629 見逃す

 

ほんとうは、恵比寿でやっている三野新くんのパフォーマンスを観に行きたかったのだが、事務仕事をしていたら間に合わず……。5月〜6月は、若い人たちの実験的な作品をだいぶ見逃してしまった。単に東京が遠い、ということが理由だけではないと思う(横浜のものも幾つか見逃した)。もちろんそれは単純にオーバーワークという理由に尽きるのだけど、なんとなく、自分の役割(若い人たちの演劇を観察すること)の変化も感じないではない。特に昨年のブログキャンプに参加していた面々の動きが非常に活発になってきつつあるのは、良いことだと思う(岩城京子さんの功績はほんとに大きい)。こういう言い方は傲慢かもしれないけども、彼ら彼女らに任せられる仕事はできるだけ任せていきたい。

 

ちなみに演劇系のライター仕事は、実はニーズがあって、時々編集者から、誰か若くていい人はいませんか?、と尋ねられることがある。だから、もしもライター業を望むのであれば、どんどん書いて発表して、またインタビューなども自力でこなして経験値を積んでおけば、それなりにニーズにマッチすることは可能だと思う。ただ、問題は、彼ら彼女らがそれを望んでいるのかどうか……?、ということ。既存の媒体の要望(どうしてもそれは、80年代をピークとする商業主義的な要請から自由ではない)に応えるということとは、また別のスタイルが、彼ら彼女らのあいだから生まれてくるのではないか、という予感はあるし、正直なところ、わたしが期待したいのもどちらかといえばそっち。別の仕事で生計を立てながら、書きたいものを書く、というスタイルには今後大きな可能性があると感じる。

 

ちなみにわたしは、自分から「ライター」と名乗ることには強い抵抗があって、それはなぜだろう、と考えてきたけど、煎じ詰めればそれは、商業主義的な要請への抵抗感なのだと思う。資本主義を否定しているわけではない。お金は大事だよ。ただ、あまりにもこの社会は、かつての栄華が生みだしたシステムの残骸に頼りすぎていると思う。言葉の環境を更新したい。

 

 

夜は世田谷パブリックシアターで『舞台芸術のクリティック』、八角聡仁さんの回を見学。脱線話がとても興味深かった。特にジーン・セバーグがもたらしたヒロイン像の話とか。なんだか本がとても読みたくなる。『シンポジウム』と『演劇最強論』が終わったら、ひとまず旅には出たいけど、図書館に籠もってひたすら本を読むのも悪くないと思う。読書会もやってみたいけど、基本的にはやっぱり本はひとりで読むものかなあ。

 

 

 

横浜まで戻り、黄金町で某嬢と落ち合って呑む。これまで、何人かの師匠やライバルに刺激を受けてきたけども、彼女は全然別の関係性で刺激を与えてくれる。なかなかいい話ができたのではないでしょうか。