BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

20130621 マーム・チリ公演報告会

 

金沢八景の喫茶店へ。ここは本当に仕事がはかどる。変な話だけど、いきなりこの人に求婚したらどうなるだろうか、と思った。文脈を全然共有していないけど、雰囲気だけで判断してしまって、もうそれを必然として受け入れる、という人生があってもいいのかもしれない。そんなことをぼんやり考えながら、温泉銭湯に寄ってひとっ風呂浴びて、十六夜吉田町スタジオへ。マームとジプシー藤田貴大くんと、帯同したライターの橋本倫史くんによる、チリ公演の報告会。

 

イタリア公演の報告会もとても有意義だったけども、あの時はやはり「旅の途中」感があって、ああ、この人たちはまだ旅をしているのだなあ、と感じた。今は、ひとまずのそれらを終えて、いったんの(ほんの少しの)一休み、というタイミングなのだろうか。あるいはもともとあの作品がこのスタジオでつくられた、ということもあるのか、とてもくつろいだ雰囲気があった。植松侑子さんが海外(陽気)担当になったのもほんとに心強いことだと思う。たぶんこれはマームにとっても、植松さんにとっても、すごく良いカップリングなのではないかと。橋本くんもそうだし、良い仲間に恵まれていくというのは、実は藤田くんの最大の才能なのかもしれない。

 

最後の質問コーナーで訊いたのは、チリ公演でたぶん凄い手応えをつかんだようですけれど、それってなんなのでしょうね、という話で、藤田くんは非常に真摯に応えてくれた。「これは本音で言うけど」と言いながら喋ってくれた彼の言葉は実際本音だったと思うし、正直なところそれはとても感動的な言葉だった。

 

今回2つ海外公演を体験して、これからも幾つかのことが決まっているようで、いろんな場所に行くということが、すでに彼らの感覚の中に芽生えているのだろう。その中で、どこにいっても同じ、となる部分(普遍性)と、各土地での固有の体験(特殊性)とが、生まれていくのだろうか。なんとなく、マームとジプシーという名前が、これからこそ彼らにふさわしくなるのじゃないだろうか、という感じがした。

 

このタイミングで、急遽、予定されていなかった報告会がひらかれたことは素晴らしいと思う(急な坂スタジオのはからいだろう)。彼らのホットな声が聴けたことはよかった。ぜひなんらかの形でアーカイブもしておいてほしい。冗談抜きに、演劇史的にとても大事なシーンだったと思うから。

 

 

終わって、山内さんも来てたし(野毛といえばこの人でしょう)、打ち上げにいきたいのは山々だったけども、原稿やらなくちゃ、と思って、泣く泣く握手だけして別れる。フラフラと雨の中を黄金町のほうまで歩いていくと、なんとまたまた、あの某演出家に道端でバッタリ会ったのだった……。なんの星回りなのか。もはやこれは天文学的な確率だと思う。