BricolaQ Blog (diary)

BricolaQ(http://bricolaq.com/)の日記 by 藤原ちから

review

第60回岸田國士戯曲賞、一夜明けて

北陸新幹線の車内です。このタイミングでこれに乗れたのは何かのご縁かもしれません。タニノクロウさん、岸田國士戯曲賞受賞おめでとうございました。 予想対談、再掲しておきます。徳永京子さんとこの作品についてかなり熱く語っていますので、ぜひ読んでい…

アンジェリカ・リデル『地上に広がる大空(ウェンディ・シンドローム)』

アンジェリカ・リデル初日を観てきました。「ひとつだけ」をこれに賭けて良かったと心底思いました。あの広さで、スタンディングでブラボーと叫んだのがただひとりわたしだけで寂しかったけど全然かまいません。それは単に観劇習慣の違いにすぎないからです…

山縣太一×大谷能生『海底で履く靴には紐が無い』

横浜STスポットで上演されている山縣太一×大谷能生『海底で履く靴には紐が無い』は、繰り出されるダジャレも含めて極めて微妙な空気が流れ続ける作品で、一見して明らかに負担の大きい大谷能生に「よしおさん、大変っすね、がんばってくださいね」と激励の言…

ロロ『ハンサムな大悟』

童貞のまま30歳になると魔法使いになれる、という俗説があるけれど、別に童貞を捨てても魔法使いになれることを、この舞台は証明した。 ロロ『ハンサムな大悟』は、珍しく(初めて?)劇団員だけでつくられた作品であり、原点回帰の意味合いも込められていた…

六本木アートナイトのスイッチを考察してみる

明日からしばらくマニラなので旅支度をしなければならないのだが、心残りがあるので日本にいるうちに走り書きになるけれど記しておきたい。六本木アートナイトでのスイッチ総研(2015年4月25〜26日)について。大健闘だったと思う。六本木の街を疾走するスイ…

コラボレーションと失敗について マームとジプシー『ヒダリメノヒダ』から

マームとジプシー『ヒダリメノヒダ』は最近のマームの中でも特に思うところ感じるところのある作品で、できれば橋本倫史による力作の上中下三巻組ドキュメント本を読み終えてから言及したかったのだが、さしあたって公演が終わりネタバレを怖れる必要もなく…

20150322 世田パブ・批評課初日、地域の物語

世田谷パブリックシアター演劇部 批評課、初日。http://setagaya-pt.jp/workshop/2015/03/post_341.html いろいろあるけど、簡単に。中学生、おもしろい! いろいろなものがこれから出てきそう。やはり別のワークショップから生まれた『地域の物語』の舞台を…

サンプル『蒲団と達磨』、素晴らしい、だが今なぜこの戯曲を?

「松井氏、ヤ軍初のフロント入り」というニュースの見出しを読んで、ヤンキースのフロント入り記者会見をする松井周の姿を想像してしまうくらい、何日か前にKAATで観た劇団サンプル『蒲団と達磨』(作・岩松了、演出・松井周)を引きずっている。後に尾を引…

20150222 Not just talking!

少し遅めに起きたアイサと横浜駅に行って大関の味噌煮込みうどん。そしてYCATのバスターミナルまで、うちのドラマトゥルクと共に送っていく。アイサのポールはずしりと重かった。次に会えるのはいつどこの都市でだろう? 東口から西口へ。STスポット、手塚夏…

岡崎藝術座『+51アビアシオン, サンボルハ』

近頃は、個別の作品について”のみ”書くことへのモチベーションも時間もほぼ失われており、優先しなければならない課題が他に山積みなのだが、それでも岡崎藝術座の『+51アビアシオン, サンボルハ』については、誰からの依頼もないにもかかわらず書いておかな…

20141007 しゃっくり

本牧にとある交渉ごとに行く。しゃっくりが止まらなくなる。時間的に余裕がないのはよろしくない。なんとか岸井さんのFでのイベントのラストに滑り込み。岸井大輔『戯曲祭礼桜木氷取』は非常に、近年のわたしが知るかぎりでの「戯曲」の概念から解き放たれて…

20141004 未来の演劇

大道寺梨乃『ソーシャルストリップ』初日。一夜明けて一気に完成度が高まり、素晴らしい作品になった。日本的な閉塞感に囚われない、自由な演劇。観客の存在を無視しない、未来の演劇。丁寧に身の回りの小世界をすくいとりながら、それらの物語の破片が広大…

20140928 仏

半分くらいアーサー王の物語に溶けていた明け方、目を醒ましてメールを見ると、日夏さんからとある指令があり……。というわけで日夏ユタカ「競馬しぐさ」前哨戦では、とある役割を演じたのですが、本番(10/26 菊花賞)でもまたやるかもしれない。やらないか…

20140927 1500年前

あまりに発作がひどいので、いつもの温泉銭湯へ。3月いっぱいで休館することを知り、少なからぬショックを受ける。まあ、変化に応じて生きていくしかないわけですね……。そこから糸電話プロジェクトの2日目へ。初日よりテクニカル面やコンセプト面はかなり向…

20140925 エラー

サンプルの『ファーム』を観に池袋へ。ひさしぶりの観劇だった。面白かった。価値観の凝り固まりそうなところがほぐされる感覚があり、松井周さんが「マッサージ」と言ってたのもあながち嘘ではなかった。 夜は演劇センターFでシビウ国際演劇祭の報告パーテ…

20140823 エスニックナイト、アートでコミュニティと向き合う?

Facebookに書き始めたものですが、また時系列を無視してこちらの日記に貼り付けます。 昨日(土曜日)の演劇センターFは恒例のエスニックナイト。幾つかのイベントが乱立するのは、フェスティバルである以上は避けられないことだし、それだけ多様・多層・多…

20140527 マンハイム7日目

ホテルのランドリールームに行ったのだが今ひとつ使い方がわからず。従業員に教えてもらう。スリランカ人の彼が、お前は日本人か、ならばヤスシ・アガシを知っているか、と尋ねられ、わからなかったのだが、明石康のことか、と後で思い至った。そうなると彼…

20140526 マンハイム5日目

山口真樹子さんの案内で、野村政之くんと共にフランクフルトへ。マティアス・ペースが芸術監督に就任しているMOUSONTURMを訪ねる。ドラマトゥルクのマルクス・ドロスが劇場を案内してくれた。非常にキュートなデザイン。そして、屋上の眺めが最高! マティア…

20140525 マンハイム4日目

マンハイム4日目。日曜日はふつう(宗教的な慣習のため)閑散とするらしいのだが、この日はお祭りだったため、目抜き通りのプランタン通りは賑わっていた。 まずレクチャー「Post-mortem:the dangerous liaisons of terror and performance」。スピーカーRus…

20140524 マンハイム3日目

さて日記を再開しよう。今は本当は8月9日で、高知にいて、台風が迫っている。この場所と時間において、マンハイムの「日記」を書くのはなんか変やけどね。 朝、「フェスティバルは誰のものか?」というシンポジウムを聴くために郊外の会場まで足を運んだが、…

20140523 マンハイム2日目

目覚めて、ホテルで朝食。ほぼ毎日、8時半から9時くらいに起きていたので、この日もそうだろう。食堂では同じホテルに宿泊している面々に会うので、なんとなく話しながら食事するのが朝の始まりになっていた。 クアドラーテの中心部、パラーデ広場(Parade P…

20140522 マンハイム1日目

さて、マンハイムでのTheater der Weltについて幾つか原稿を書く予定があり、さらに演劇センターFでの報告会もあるので、記憶を呼び覚まそうと思って日記をひさしぶりに再開したわけだが(今これを書いているのは7月28日)、書き始めてみたら予想よりも細部…

20140518 快快『へんしん(仮)』

なんとか合間を縫って、こまばアゴラ劇場に快快『へんしん(仮)』を観に行く。とても快快らしいものを感じたというか、勇気をもらったように感じた。これはリーダーよんちゃんの性質によるところが大きいのかもしれないけれども、すごく、プリミティブに演…

20140510 大岡川を源流まで歩くPART2

とうとう日記を2ヶ月遅れで書くようになってしまった。もう梅雨が明けようっていうのに。 さてこの日は、「金沢八景から大岡川源流氷取沢まで演出家市原幹也と劇作家岸井大輔と歩く」第2弾。前回のレポートはこちら。今回は金沢八景駅に集合し、八景島や金沢…

20140509 エスニックナイトは演劇である

Fの制作である横井貴子嬢が企画したエスニックナイトvol.0。おー、これは! 予想していた以上の大ヒット企画。まず買い出しから始まる。横浜橋商店街の、韓国、中国、台湾、タイ、フィリピンなど、様々な食材店を訪ねて、お店の人とやりとりしながら買い物を…

20140505 海外活動報告会vol.1 多田淳之介:韓国

象の鼻テラスにて、演劇センターFのメンバー5人が集結。ままごと柴幸男くんたちのシアターゾウノハナをなんとなく見学しつつ、今後の相談。そのあとFに流れて、出前をとって腹ごしらえをしたあと、「海外活動報告会vol.1 多田淳之介:韓国」。これまでの多田…

20140504 川上未映子×マームとジプシー「まえのひ」ツアー最終日

川上未映子×マームとジプシー「まえのひ」ツアー最終日マチネ@歌舞伎町・風林会館。素晴らしかった。当パンに入っていた沖縄の貝殻が印象的。自在に憑依と覚醒をあやつる青柳いづみはもちろんだが、音響のzAkさんも含め、マームメンバーたちのチームワークの…

20140503 学生演劇

MM嬢の入学祝いもかねて、彼女が手伝っている桜美林大学の学内公演を観に行った。不思議の国のアリスをモチーフにしたもので、30分程度の小作品。最後、劇場のドアがぱーんとひらいて、そこからヒッチハイクして新宿に向かう、という話だったのだが、もちろ…

20140502 東葛スポーツ『バック・イン・ブラック』

ほんとうはFに行く予定だったが、風邪をこじらせてしまったのでお休み。夕方になってようやく少し回復したので、マスクをして東葛スポーツ『バック・イン・ブラック』へ。うーん、確かに東葛節(?)が効いているところはもちろんあるし、次回の予告編とかも…

20140430 くりかえし

竹本真紀個展『くりかえし』。天井付近に設置されているオブジェを、最初、見逃していた。やっぱり演劇を観るのと美術のインスタレーションを観るのとでは着眼点、空間把握の仕方とか、違うんだなあ、と当たり前のことを感じる。竹本さんの今回の絵は、ある…